看護師という職業、実際どうなの

なりたい職業の上位にあがる看護師。

志したきっかけとして挙げられるエピソードは夢や希望に満ちたものが多いです。

「祖父が入院したとき、とても優しかった」

「いきいきと働いている姿に憧れて」

「人の役に立てるし、やりがいがあると思うから」

 

看護師は「保健師助産師看護師法」という法律で定められており、厚生労働省の看護師国家試験に合格しないとなれません。

看護師国家試験を受けるために、まずは看護師を養成する専門学校や、短大などに合格する必要があります。

入学後は、学内での看護実習、講義の受講、委託病院でのさまざまな診療科での実習、レポートの提出など、

試験でも赤点を取ると単位を落としてしまいます。

大変な思いをして看護学校を卒業しても看護師国家試験に合格しないと、ただ看護学校を卒業しただけになります。

看護師になりたいという意思が、強いものでなければ、途中で挫折してしまうこともあります。

看護師国家資格を取得したということは、強い意志があり、夢に向かって努力してきた結果だといえます。

しかし、そうして看護師になり、勤務しても離職率は非常に高いです。

離職し、職場を変えながら看護師を続けるだけではなく、看護師としての職業から身を引く人もたくさんいます。

看護師国家資格を持ちながら、看護師としての仕事をしていない人を「潜在看護師」といいますが、

実際看護師として働いている数のおよそ半分、全国で70万人以上いるといわれています。



◆給与や勤務時間・休日・待遇面は?

給与

看護師は看護師国家資格という国家資格をもった専門職なので、一般の事務職に比較すると高いです。

ただし、病院により差が大きいです。高いからと言って忙しい病院だとも、その逆とも限りません。

夜勤手当もしかりで、高いから忙しくて仮眠もとれないとも限りません。

基本給が高くても、時間外手当をくれないところもあります。

有給を取らせてくれないところも。。。

実際時給換算すると、基本給が少なくても手厚い福利厚生・手当がある方が高いこともまれにあります。

勤務時間

病棟だとシフト制です。

最近は、日勤と夜勤の2交代制をとっている病院が多いですが、

日勤、準夜勤、深夜勤の3交代制をとっている病院もあります。

始業時間、終業時間は病院によりますが、準夜勤は0時過ぎに帰宅し、深夜勤は0時頃出勤します。

夜中に帰宅、出勤することは防犯上怖いですし、実際、その時間帯を狙って、不審者が出ることもあります。

いろんなサイクルを繰り返すことにより、身体的にも負担は大きいです。

それ以外にも、早出、遅出という勤務がある病院もあります。

休日

週休2日制が主流ですが、4週6休制をとっているところもあります。

カレンダーの土日祝の数、毎月9日と定めているところもあります。勤務する前に、

年間休日数を調べておくことをおすすめします。

また、夜勤明けやその翌日に休みをつけてくれるとは限りません。

有給休暇を、欠勤した時にあててくれるところが大半ですが、中には欠勤した分をどこかの休日に、

振り替えて出勤させられるところもあります。

その場合、勤務が6日以上休みなく続くこともあります。

有給休暇は、業務に支障のない範囲であれば、取得できることが労働基本法で認められています。

しかし、全部消化できることは無いと思っていたほうが良いです。

看護師の仕事とはどのような内容?!

看護師は、医師の指示のもとで看護を行うことができる資格です。

配属されるところによって、仕事の内容は変わります。

一般に、働く機会の多いのは病棟です。

看護師の仕事内容について

医師の診察や治療の介助をします。

  • バイタルサインチェック(下記の状態などを測定すること)
    • 血圧
    • 体温
    • 呼吸、
  • 注射
    • 静脈
    • 皮下
    • 皮内
  • 採血

などです。

怪我や手術後の場合は、創部の消毒、ガーゼ交換などの処置も行います。

入院患者の身の回りの世話も看護師の仕事です。

  • 配膳
  • 下膳
  • 必要時食事介助
  • 入浴介助
  • シーツ交換
  • おむつ交換
  • ベッドメイキングなど

これも看護師の仕事であることが多いです。

その日に担当した患者の、状態や観察したことをカルテに記載、必要時医師への報告、医師の指示を受けます。

新人看護師の仕事について

入職時にプリセプター(先輩看護師)がモデルをし指導します。

一定期間つく事にはなっていますが、実際にはシフト制の勤務のため勤務が合わないこともあり、

ペアで業務にあたれるのは勤務開始のごく初期のうちだけと思っていたほうが良いです。

初めてのことを一人で行うことはありません。

指導を受け、プリセプターの監視下では実施できたことも、

いざ一人でしようとすると分からなくなったり、不安になることがあります。

処置ごとにマニュアル(手順書)が作成されているので、実施する前に確認しましょう。

近くにいる看護師をつかまえて聞くこともできますが、

「同じことを何回も聞いてくる」新人看護師はあまりよい印象にはなりません。

ただし、マニュアルも内容の見直しがされておらず、情報が古かったり、

手順が変わってきていることがありますので、指導されるときにはきちんとメモをとっておきましょう。

熱心で親切なプリセプターであれば、自分の休日にもプリセプティー(新人看護師)が戸惑わないように、

するべきことをレクチャーしてくれたり、プリセプターノートを共有し、

病棟全体でプリセプティーの看護実践の進度を把握し、それに応じた業務に導いてくれます。

個人病院ではマニュアルの整備や、プリセプター制度はあまり進んでいないのが現状です。

医師が行うべき医療行為を、看護師が実施することが当たり前になっている病院もあります。

介護職(ヘルパー)の業務の範囲にも、病院によって差があるので、

実際勤務してみて「こんな事していいのだろうか」と不安になることもあります。

看護の仕事をやりがいのあるものにするには

看護師としての仕事を簡単に、実体験もふまえて書いてきましたが、

希望にあふれやる気をもって看護師になったけれど、

看護師生活をやりがいのある充実したものにできるかどういかは、本人のやる気によるものより、

「勤務する病院に左右される」ことが大きいです。

実際は法令遵守(コンプライアンス)違反をして、正しい医療を提供していない病院もあります。

看護師になるまでは、病院はどこも正しい事をしてくれている、と思っていました。

でも個人病院ではよくあることで、今となってはよっぽどのことでない限り驚かなくなりました。

待遇や安心して仕事ができる環境を、と望むのであれば、大規模病院や大学付属病院などが良いでしょう。

ただし、時間外勤務や勉強会、院内外の研修、委員会の活動などで自分の使える自由な時間は少なくなります。

雇用条件なども、実際に勤務してみないとわかりません。

看護学校時代の同級生など医療の世界は、横のつながりができやすく、

「友達が」「友達の友達が」という形で、いろんな病院の評判も耳に入ってきます。

しかし、それもあくまで人の話なので、働いてみると思っていたのと違う、とおもうこともあります。

まずは、徹底的に看護職について情報収集することです。

あるかないか分からないことを不安に感じて考えるのではなく、

自分の感性、看護観を信じて、初心にかえって、

自分のしたいことができているか?

なりたかった看護師像に近付けているか?

仕事に慣れてきた頃に一度立ち止まって考えてみると良いでしょう。